アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、元ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

【PS4/Switch】『Eスクールライフ』感想。夢にみた共学の生活は「E噂収集ライフ」!?

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  久々のADVレビューやっていきまっしょい!

ということで今回は、7月30日発売の『Eスクールライフ』を紹介。事前に公式サイトから「キャラに対する噂の有無で分岐」「登校時間を設定出来る」という情報を入手しており、攻略の楽しみがありそうだと期待していた一作

親の都合で海外の学校に通っていた主人公・篠崎遼太郎は、そこでの男同士のスキンシップに嫌気が差し、幼馴染・花園亨に「日本に帰りたい...」と相談。すると、花園兄妹と同居する形で日本に戻れることに!

遼太郎が夢にまでみた、年頃の女の子との学園生活が始まる―――!のだが、その実態は人の話を片っ端から立ち聞きしていく「E噂収集ライフ」だった。

 

 

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噂話を集める『Stand Talk +』

 まずは目玉システムである『Stand Talk +』から。

インターミッション中にモブ達の会話を聞くことができ、その中からヒロイン達に関する「噂」を収集。その噂の有無で、放課後のパートで指定したキャラとのイベント内容が変化。

好感度が自動的に上がるか、噂を元にした選択肢が求められるかとなり、選択肢に正解すれば好感度が上がり、外した場合は噂が無い状態でそのヒロインに会った時の会話になる。

つまり、情報を持っているほうが絶対的に良い。例えばこんな会話が発生する。

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▲文字が読みにくいのは仕様。

 

恋愛が情報戦であるかは置いておき、本作は誰のルートにも入れないバッドエンドが用意されていることもあって、結局は『Stand Talk+』パートで総当りをして、放課後にキャラを指定し選択肢を選ぶだけになってしまっているのが残念。

一度でも別のヒロインを選ぶと目的のルートに入れなくなる=バッドエンドになる仕様も相まって実質的にヒロイン選択制のゲームとなっている。しかも『Stand Talk+』は、毎回12もある噂の出本から目的の子の話を聞けるのを待つことになり、蓋を開けてみるとかなり作業感の強いシステムになってしまっていた。これがE噂収集ライフか

バッドエンドが用意されていること自体は何の問題もないのだが、「本命がいるけど面白そうな噂を聞けたから今回は違う子にいこう」みたいなゲームプレイを許さず、結果的に作品自体の自由度を下げてしまっているのは残念なところだ。

噂同士の絡みがあってイベントを起こすためには複数ヒロインの噂が必要だったり、『フレラバ ~Friend to Lover~』みたいに、持っている噂を話題として投げられたりしたら面白かったかなと。
それならば、話のタネを集めるという意味でも、もっと主体的に話を聞きに行こうと思えたはずです。
モブ達の会話も学園生活らしさが溢れていてくて良いのですが、やはり「違うよヒロイン話をくれよ」と思ってしまいがち・・・。

 

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学園生活の偶然性を掴み取る

 次に、登校の時間帯を選べる就寝前の選択肢。

早めに寝る・いつも通り寝る・ちょっと夜更しする・徹夜するの4択が5回くらいあり、そこで何を選んだかによって翌朝の登校時間に会えるヒロインが決まります。

『今日はたまたまこっちに用事があって~』と偶然同じ道で登校することになったり、ヒロインと一緒に遅刻をギリギリで回避!してみたりという「"学園あるある"を自分の手で掴める」のは良かったポイント。そういうイベントに強制的に巻き込まれるよりかは、夜更ししちゃったから遅刻しそうになってそこに偶然ヒロインも!のほうが話として自然ですからね。

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▲左:日直で朝早くに登校! 右:たまたまこっちに来てるのよ

ただし、どの時間帯に寝れば明日はあの子に会える!という情報は全く得られない。例えば、気になるあの子は日直なのか?とか、朝練があって早くからいるのか?などは一切知らされない。手っ取り早く目的のヒロインとのイベントを見たいという方は首を傾げる選択肢かもしれない。

 

シナリオ

◯全体を通して残念だったのは、ヒロイン同士の絡みが希薄ということ。

プロローグ中こそあれど、メインの日常が始まってからの放課後パートはキャラ選択制なので皆いる場所が違うため単独出演。加えて一緒に登校しているわけでもないため、1行動・1ヒロイン出現で終了というパターンになってしまっている。まあ、学園生活でそんな頻繁に別クラス・別学年の知り合いと会うことは無い・・・か・・・?

 

◯ギャルゲーでは珍しく、ほぼ1年を描いているシナリオは評価

「夢にみた学園生活」を彩るものとして、やっぱり1つの大イベントだけでは物足りない。ハレの日とケの日があってこそ生活だと思うので、なかなか挑戦的で良かったなと思いました。メインなのは夏休みまでで、その後は飛び飛びではあるのですが。

但しそのぶん、尻すぼみ気味のエピソードもあったのが残念。昼に待ち合わせて始まったデートがすぐ夜になって解散となってしまったり、せっかくの修学旅行も後半は数テキストで終わったりと肩透かしを食らってしまうことも...。

シナリオ自体も悪くないと思いました。特に、幼馴染である花園兄妹の妹・瑛美ちゃんのルートが好きでした。昔のことと今のことが上手く重なっていたことや、実質的な家長である兄の亨にバレないようにデートをするなど。

 

どうしても言わせてほしい

これ明らかにおかしいよね?

1.昼に聞いた話では、今日図書室はPTAの集まりで使うため図書委員の当番は無し。

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2.放課後なぜか図書室で当番をしているヒロイン。

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しかもこれ、1番の話は図書委員のヒロインのイベントに繋がるものです。何かと取り違えているのか?

 

まとめ

 ヒロインに関する情報を他所から得て、それを会話のネタにして笑い合うという本作の基本的な流れは、「現実の人間」らしさが表現されていて、リアルな「日常」のように感じられました。
というのも、現実での関係性って『Aくんにしか話していないことをBくんが知っている』ように、自分が発してしまった言葉がどこまでも流れていくものだと思うのです。
『日常の中に、恋がある』というキャッチコピーが示していたように、まさに「日常」感あふれる学園生活を上手く表現したシステムだと思いました。

 しかしながら、目当てのヒロインの情報を得ないとルートに入れない仕組み上、淡々と噂話を収集していく毎日になってしまったのは残念。1キャラにつき1つの噂ではなく、他の話も持っていたら変化が~となっていれば、もっと面白くキャラ達の話を聞きに行こうとなっていたに違いない。結局は、近年の恋愛アドベンチャーと同じく「ヒロインを指名していくだけ」のシステムの外側を変えただけになってしまっていた。

 就寝時間から影響する登校時間の選択と、それに付随して発生する学生らしい偶然性のあるイベントや、一年を通した学園生活を描くなど意欲的な試みも見られた本作。システム次第では化ける可能性も十分に感じさせる、密かな魅力のある一本。「良いスクールライフ」になるか、「良い噂収集ライフ」になるかは、プレイするあなたの心に委ねられている。

 

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