アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、商業ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

あなたの助けを待つ少女が、此処にいる― PS VR 専用ADV、『星の欠片の物語 ひとかけら版』

PS VR にアドベンチャーゲームが来た!

2018年1月26日に配信を開始した、『星の欠片の物語、ひとかけら版』だ。

『星の欠片の物語、ひとかけら版』
「全てはVRの為の設定とシナリオとゲームデザイン」を謳う、
コミュニケーション・謎解きADVである。
お値段2800円。

星の欠片に、知識と記憶を失って取り残された1人の少女。
その世界に偶然、別の世界から干渉出来るポイントがあった。
別の世界の住人・・・つまり私達プレイヤーは「他の世界を覗き見れる装置」を介し、
この星の彼女と互いに認識をしあう。
奇跡的に繋がりを得た2人は、彼女が星から脱するために謎を解いてゆく。

f:id:irienlet:20191221083942j:plain▲助けを待つ少女

 

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ゲームの基本は「ポイント&クリック式」。ただしその入力方式として、「視線」を用いる。
怪しいと思ったところを見つめたのち、少女を見ることで指示を出す。
すると少女が、その場所に向かった後何かアクションをしたり、ものを拾ってきて見せてくれたりする。
こうした「視線」を介する「コミュニケーション」が鍵となっている。
これは PS VR だからこその形式と言えよう。

f:id:irienlet:20191221084109j:plain▲謎のフォルダをこちらに見せてくれている様子。近づけば字も読めます。

謎解きは要はパズルです。
この物体をどこに嵌めるだとか、このスイッチを押すとどうなるだとか。
特徴的なのは、上下左右・360度全てを見回すことが出来るということ。
左右方向だけぐるっと360度見渡しているだけではきっと謎は解けません。
見上げたり覗き込んだりという、 PS VR ならではのパズルを楽しむことができます。

 


 

さて、とにもかくにも、「他の世界を覗き見れる装置」によって
私達は彼女がいる世界に「干渉できる能力」を手に入れました。

持論ですが、アドベンチャーゲームの面白いところはこれです。
自身の手によって世界を変えてゆける力。それがアドベンチャーゲームにあります。

ゲーム側から「干渉出来る力を無碍にするのはもったいないぞ!」と言われたとき、感動しました。

難易度は少し高めかもしれません。何せよ本当に全てを見回せるので、選択肢が多い。
また、「物体を見つめる」→「少女を見つめる」→「台詞を言ってそこへ歩く」→「台詞を言って動作をする」
といった本作のパズルにおける基本的な流れのテンポが悪いかもしれません。
しかしそれでも、彼女とこの星で繋がって過ごした時間は、「忘れられない」体験になるはずです。

本作は VR デバイスのために全てが設計されています。
その衝撃の結末を、ぜひあなた自身の目で、
あなた自身の「干渉できる力」によって確かめてみてください。


少女は今もあの星で、あなたの助けを待っています。

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