アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、元ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

【Switch】『Buddy Collection if -宿命の赤い糸-』レビュー。低価格ながら論はしっかり。

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家庭用ゲーム機向けの推理・ミステリーを主題にした作品は、近年殆ど見られなくなってしまいました。

しかし Switch のダウンロードソフトを見てみるとあらびっくり。フリーゲームから商業進出した本作『Buddy Collection if -宿命の赤い糸-』があるじゃないですか!

税別800円というお手頃価格ながら、事件についての行動をしっかりと「考えさせる」つくりになっており、楽しめる一作でした。

 

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作品概要

まず『Buddy Collection』という作品自体の紹介なのですが、本作は全5部作の予定で展開されているフリーゲームのシリーズ。「微乙女×推理」と謳っている通り、主人公は女性でいわゆる乙女ゲームなのですが、『~ if』に関しては恋愛要素は薄めでした。むしろ、推理モノとして男性がプレイしても問題無いと思います。

『~ if』はシリーズ第1作にルートを追加して3ルートになったうえ、更に本来ならば第2作から登場するキャラも交えての物語も語られるまさに"if"な作品。

フリーゲームのほうは web ブラウザ上でもプレイ出来るようです。詳しくは公式サイトさまへ。

Buddy Collection | なるとりっく

 

中身の紹介

事故か事件か、相棒と記憶を失ってしまった主人公。彼女はとある高校の探偵科、それも最上級のクラスに所属する学生だった。学校に戻ると決めた彼女は、記憶を失くしていることから最も低いクラスに編入することとなった。そして癖のある3人の男の子から1人を選んでバディにしないといけないそう。

様々な理由があってバディが決まらなかったため、先生が演習合宿を組みその中で主人公の実力を測ってもらうことに。合宿で発生する事件の調査を経て、彼らと想いを通わすことは出来るのか…?

演習合宿は当初、人形で模した殺人事件を解決するというものだったのですが、次の日なんとその人形と同じように先生が殺されてしまい、本格的な調査が始まります。

バディ候補の3人の男の子というのが、
・同学年で勘だけは鋭いライオンヘアーくん
・チャラい見た目だが一番の常識人な先輩
極論で突っ走りがちな萌え袖の後輩くん
です。誰と一緒に事件を見るかによって、見え方・気付き方も変わってきます。

調査は「ポイント&クリック式」ではなく、どこを調べる?と問われて表示される選択肢を選ぶタイプ調べられる回数が限定されているわけではないので、見落とすことはない。推理ゲームとしてはベーシックなつくりです。

ただ、時折自身の推理を選択しないといけなくなるので、ちゃんと考えながら進めないといけません。読んでるだけで勝手に進んでいくわけではないし、勝手に解決するわけでもないあくまでプレイヤーに考えてもらい、答えを出させるわけです。(ゲームの当たり前が出来てるって、たくさんやってるとそれだけで嬉しいってこともあるんです…)

得られた情報はいつでも閲覧出来ます。合宿所の見取り図も確認出来て結構親切。

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先程「ちゃんと考えないといけない」と言いましたが、本作はバッドエンドがかなりの数存在しています。バッドエンドを迎えたとしても、誤ってしまった選択肢まですぐに戻れるので、そんなに怯える必要はありません。重要な場面では「運命の選択肢」とも表示されますので。

作中の事件ですが、個人的に最初から結末がわかっちゃったんですよね。でも、そこに至るまでの論は考えないと進めなかったですし、提示される論拠もしっかりしていたので、楽しみながら遊べました。こういう場合での推理は違和感に気付けるかが大事だと思っているので、テキストにしれっと混ざっているそれを上手く拾えるかの勝負ですね。「あれ?」と思ったことは後半の推理パートで一本に繋げてやってください!

ただそれで言うと、節の切り替わりでバックログが初期化されてしまうのが残念。

 

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システムや演出

ゲームを始める際の注意書きを見て焦りました。

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『ゲームプレイ中に Nintendo Switch HOME メニュー画面に遷移し、なんらかの操作を行うと、 case 冒頭からのプレイとなります。ご注意ください。』

どういうシステムなのかはわかりませんが本当に注意してください。その上にも書いてあるように任意のタイミングでのセーブも出来ませんので

ですが、1つの case (=節)はそれほど長くなく頻繁に区切られるので、もしなんらかの操作をしてしまったとしてもダメージは大きくないと思います。

この case の繋がりを示すフローチャートも搭載されているため、任意セーブが使えないとしても、個別ルートの回収には苦労しないはずです。

あと、本作にはキャラのボイスや一枚絵(スチル)は存在していません。価格から考えたら妥当かなとは。

 

「if」な追加エピソード

本作の特筆すべきポイントはここ。実は一番楽しめた要素。

詳しくは言えませんが、合宿所や各キャラクターの特性・特徴を利用して繰り広げられる新たな事件が発生します。プレイヤーとキャラクターとの「ある違い」を盛り込んでいる面白いエピソードです。加えて、このシナリオで登場するシリーズ第2作からのキャラは、主人公の元々いたクラスである最上級クラスの所属であり、更に厳しい戦いに。

ただのおまけエピソードではなく本編同様…いや、本編以上にしっかり考えないといけない上、バッドエンド分岐のヒントが一切無くなるという本気モードで事件に挑むことになります。もっと頭を使いたいというかたは是非こちらのシナリオもプレイしてみては。

昔サターンにこれと同じようなシチュエーションのゲームが…おっと

総括

「低価格ながら論はしっかり。」と銘打ったように、決して安かろう悪かろうなものではない、遊べる作品。推理ゲームとしての基本的な要素は抑えつつ、合間で即死選択肢の回避も要求される緊張感のある作品になっている。登場人物の台詞や場面描写を注意深く観察し、最後に真実を解き明かす快感はミステリーならではの体験であり、本作でもそれを味わうことが出来る。

シリーズ第1作の「if」展開ということもあり、本来は存在しないルート2人ぶんとエクストラなシナリオが追加されている本作は、原作を遊んだかたでもきっと楽しめる内容に仕上がっているだろう。

本作は最初に紹介した通り、全5作が予定されているシリーズ形式の作品のうちの第1作に加筆されたものだ。この1作だけでは語られないこともあり、事件の外に疑問の残る結末ではある。ただ、現在 web 上では第2作までを遊ぶことが出来るので、興味のある方は是非遊んでみてはいかがだろうか(無料です)。

 

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