アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、商業ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

PS4・新作アドベンチャー/ギャルゲー紹介&感想 ★8~ついに登場『ワールドエンド・シンドローム』!

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2018年8月は実に5本のADVが発売されました。
特に23日は3本も発売され、一個人を賑わせました。

今回はやっと発売になったあの「ミステリー×恋愛ADV」を含めた4本!

 

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探偵 神宮寺三郎 PRISM OF EYES

【今、新宿を舞台に再び事件が巡る。殺人、盗難、誘拐―数多の事件が探偵を待ち受ける。】

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PS2時代以来、久しぶりに神宮寺三郎が据置機に帰ってきました。

1本に1つのメインストーリーだった旧作とは違い、
3人の主要人物それぞれの視点で繰り広げられる物語が収録されています。
主要人物とは、探偵の神宮寺三郎、その助手である御苑洋子、神宮寺とつきあいの長い刑事である熊野参造の3人。

過去作との繋がりは殆どなく、ここから神宮寺に触れるかたでも問題の無い作り。
個人的には、洋子の話が一番頭も使って面白かったです。

ただ、UIまわりが若干わかりにくい。
どのコマンドを選んでいるのかがはっきりしない。


今年中に神宮寺の新作である『ダイダロス』(以下略)も出るそうなので展開が楽しみ。

2018.08.09 発売
(C)ARC SYSTEM WORKS

 

 


 

ボクと彼女(ナース)の研修日誌

【大人の扉を開く恋、始まります】

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研修医として配属された病院で出会ったのは看護師となった幼馴染。
ある日、彼女をかばって階段から転落し骨折した主人公。
そんな彼の世話をすると言い出した彼女との
病院ラブストーリーが始まる。

何も始まりません。

コミュニケーションADV、第5作。
相変わらずですが最初から距離が近いです。
いくら幼馴染が入院するからといって、いきなり「あーん」とかやるか?膝枕で耳かきとかするか?
そして相変わらず選択肢も0なのでご安心を。


主人公の病室には他の患者もいるのに堂々と恋人トークをする彼女。
夜勤で暗い病室も、一枚絵になると明るく陽が差す魔法の低予算。
内緒の恋かと思いきやみんな知ってたオチ。
全く救いようのない読み物です。
いい加減こんなの作るより真面目なADVを作ってほしい。

2018.08.23 発売
(C)プレカノ / ENTERGRAM

 

 

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フローラル・フローラブ

【―あの日、俺は天使を見た。】

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相手の心が善いときは白い羽が、悪いときは黒い羽が見える。
幼い頃に巻き込まれた火事ののち主人公に宿った能力。
だが彼には、火事のときに天使を見たという記憶しかない。
今、教会で聖書朗読会というところに身を置く主人公。
善悪を見分ける能力を使い雑務をこなす教会に、皇女の留学生がやってくる。

あらすじとしてはこんな感じでしょうか。
学園の4大天使全員と関わりを持っていないか?みたいなことが公式には書いてありますが
そういう空気はあまりないです。

同社の『カルマルカ*サークル』は「七つの大罪」をモチーフにしておりましたが、
今作では「キリスト教」をベースにした世界観が作られています。

謎が各所に散りばめられていますが、その解決は物語の流れに任せていればいいという
なんとも拍子抜けな感じ。

進めているうちになんとなく明らかになるだけで、あまり盛り上がりもしません。
ルートによってはクライマックスで後付けの設定をポンポン出してきて下がります。
読んでるだけですんなりタネ明かしされるのはつまらないです。

選択肢も、目当てのヒロインの名前を選ぶだけ。
これだけな上相当な時間を取られるので、微妙。


2018.08.23 発売
(C)SAGA PLANETS/ENTERGRAM

 

 


 

ワールドエンド・シンドローム

【生者に紛れ込んだ・・・・・・ "死者"は誰だ?】

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100年に1度、死者が蘇り災いをもたらす「黄泉人伝説」が根付く田舎町・「魅果町」。
今年はちょうどその100年目に当たる、特別な年。
この町に引っ越してきた主人公は、高校のミステリー研究会(民俗学研究会)に所属することに。
ある日研究会の面々は、行方不明になっていた女生徒の遺品を発見する。
奇しくもその女生徒とは、顧問の先生から研究会への誘いを受けていた生徒であった。

完全新作、ミステリー×恋愛ADVを謳う本作が約4ヶ月の延期を経てついに登場しました。

オーソドックスな、選択肢を選ぶ+場所移動で高感度を上げるorフラグを立てる方式です。
但し、特定の期日までにフラグを立てないといけないのと、
移動できる箇所が多いこと、セーブが1日の終わりにしか出来ない不親切さから攻略難易度は少し高め。

選択肢の数はそれなりに設けられているので、このあたりは完全新作ながら「ADVをわかっている」作り。

肝心の物語について。
恋愛に関しては正直オマケといったレベルです。
自由行動の出来る約20日間にいくつかヒロインそれぞれのイベントが入ってはいますが、
いつの間にか向こうから好意を寄せられているという感じがします。

ミステリーのほうはどうでしょうか。
まず、このゲームの構造は
【ヒロインA/B/C】→【ヒロインD】→【ヒロインE】→【真相編】という作りです。

最初の3人のルートでは恋愛を楽しんでもらいたかったのか、
ミステリー要素・謎の根幹へ迫っていく要素は薄めです。
その恋愛要素も上記の通りだし、攻略難度からしてプレイを中断しないか懸念されます。

それを超えると、ヒロインD、Eのルートで一気に謎を解き明かしていくことになります。
裏で起きている凶悪な事件、「黄泉人伝説」、この町に隠された真実・・・。
このあたりでようやっと盛り上がりを感じるのではないでしょうか?
そして最後の【真相編】。まさかの真実が明かされて物語は幕を閉じ・・・


・・・るのですが、色々と残ってしまっているのが残念。
あるキャラが打ち立てる説は、あるキャラが死者であることを前提として説明されるのに
その前提が覆されてからの物語中のフォローは無かったり。
この終わりかたでは、各ヒロインルートでの「引き」の伏線を回収できていなかったり。
もろもろ思うところがあります。

お粗末な出来とは言いませんが、ミステリーのほうも明快な解決を見られるかというと怪しいです。
恋愛要素が無いと売れないのかはわかりませんが、それを捨ててでもミステリーのほうへ、
魅果町につくりあげてきた設定を丁寧に丁寧に解き明かしていったほうが良かったのではないかと思います。

事件の犯人を、選択肢を通して名指し出来たのは満足です。
やっぱりこういうのは指名したくなりますよね。「俺、わかってるからさ~」といった感じで。


総括として、ミステリー要素は気になる部分が残って終了、恋愛は本筋のゲームから見ると劣り気味と、
お世辞にも期待していただけの出来ではありませんでした。
更に、システム面の悪さから批判される未来が見える気がします。
アドベンチャーゲームとしては、近年のPCゲー移植群とは違って選択肢を多く用意する
挑戦もしっかりと見て取れますので、そのあたりは良かったなと。


決して万人受けはしないと思われる一作。
それでも、批評を読むだけでプレイしないのはもったいないと思います。
真実が明らかになっていくときの感情の揺れ動きは、あなた自身しか感じられないからです。

2018.08.30 発売
(C)ARC SYSTEM WORKS / TOYBOX Inc.

  

 


 

ワールドエンド・シンドローム、結末の後は上手く言い表せない感情になりました。
こればっかりは体験してもらうしかないです。
興味のある方はぜひ手にとってほしいです。

 

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