アドベンチャーゲームの入江

アドベンチャーゲーム(ADV)を600本以上持つ筆者が、元ゲームプランナーの視点からADVを紹介するブログ。ギャルゲーからミステリまでADVならなんでも。

近況報告『近鏡』~最近プレイしたギャルゲーと、最近ギャルゲーに思うこと~


 日本の歴史書に『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』というのがありまして、受験生は「ダイコンミズマス」なんて順番で覚えるのではないでしょうか。そんなノリで、近況を『近鏡』と書いたら歴史書っぽくなるんじゃね?というタイトル。

 今年に入ってプレイした近年のアドベンチャーゲームのざっくりとした感想と、最近どうも(主に)ギャルゲーに食指がのびないことを回顧してみる記事です。

 

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ボク姫PROJECT

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 まずは日本一ソフトウェア渾身の、「ほぼ全年齢」女装ゲー。「四姫」と呼ばれる学園トップの女の子達と自身の魅力とで競い、学園選挙でより得票率の高かった方が勝利を収めるというシンデレラ(男だけど)になってやる系ストーリー。その目的は、この学園で倒れて以来1年間目を覚まさない姉の病の謎を追い求めることにある。

 女装ゲーということで女学園が舞台かと思われがちだが、実は男子部も存在しており、主人公の伊草ミナトは「昼は戦姫(女)」「夜は伊草ミナト(男)」として過ごす超ハードスケジュールをこなす凄いヤツ。磨く魅力を選んで勝ち抜くシミュレーションゲームっぽいところもあるが、選ぶだけで上がるし上限も低くとっつきやすい。むしろ魅力を磨いている間に妹に「修行」との名目であんなことやこんなことをされるのを眺めるのが楽しい。

 特筆すべきは、選挙のアピール中に数々の邪念から答えとなるワードを見つけ出す Girl's Emotion Mode 。選挙中これが尽きてしまうと敗北が決まってしまうのだが、意外と侮れないシステム。例えば、伊草ミナトくんは妹の代わりに出席した入学式で暴漢を撃退したことから「戦姫(いくさひめ)」と呼ばれるようになるわけだが、 Girl's Emotion Mode の中で「そのきっかけはなんだったか?」と聞かれる。このように、しっかり物語世界やキャラのことを認識していないと勝ち抜けないゲーム性を持ち合わせているのは評価。ただ、このように盛り上がる選挙戦への準備段階、というのはわかるが、読むだけの進行がかなり長く感じられたのは残念。

 ちなみに評価点としてもう2つ。1つは、しっかり「女装がバレた」後の落差まで描かれていること。時代が時代だけに比べてはいけないかもしれないが、『スイートレガシー』みたいな危機感・危機管理の無さはなかったように思えた。そしてもう1つ、トロフィー名が他の女装ゲーをもじったものになっているという粋な図らいもある。全部わかったひとは女装ゲームマイスターと言えるのではないだろうか。

 総評としては、盛り上がるところは盛り上がるものの、日常パートがややきついというところか。ただミナトくんあんなことやこんなことになってが恥じらうのは良かったでござるなwwwデュフフwwwフォカヌポゥwwww

 

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Sugar*Style

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 さてこちらは2021年6月発売の新作。久しぶりに予約までして買った注目作。購入理由は、「寮での役割を選んで活躍」できることから選択の幅が広そうに感じたことと、「彼女の部屋の中を調べられる」ルームアクションでの好感度変動を期待して。下着とか漁っちゃったら好感度下がるよ、みたいなベタなやつとかね。

 それではゲームスタート。叔母が寮母を務めるボロ屋敷和風でいい感じの寮に引っ越してきたたった1人の男子、それが主人公。いきなり男が来たわけで当然いろいろあって距離は置かれつつも、なんだかんだ寮に来て一番最初に出会った...正確には庭に置いてあるダンボールの中で縮こまっていた女子...はまだ好感を持ってくれていた感じがあった。そこで、「誰と仲良くなりたい?」という選択肢が出たときに彼女を選んでみた。

ら、

それで、このゲームの、選択は、終わった。

 寮での役割選びはただのエピソード分岐で好感度関係無し。部屋を漁るのも何の制限もついておらず会話を楽しむだけの要素。ルート分岐に影響するものは何一つ存在せず、開始1時間も経たずに出現する「誰と仲良くなりたい?」で選んだ相手へ一直線。残念ながら、私の価値観では評価不能の作品だった

 

I×SHE Tell

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 前掲の『Sugar*Style』があまりにも期待はずれだったために購入したのがこちら。恋のポイントを決めるのはプレイヤーで、ヒロインの仕草や挙動言動行動に「キュン」と来たらその相手にポイントを加算できるシステムで、以前より気になっていた作品。実際に始めるとその他にも、「最大8人からなる視点変更」が可能であったり、触れた手を離すか!離さないか...!?のようなドキドキを感じられる時限式選択肢があったりと、プレイヤーにとことん主導権を握らせていた楽しい一作であった。

 恋愛禁止の校則を破った生徒会長が主人公。そんな彼の勇敢な行動は学園の女子の気を惹くには充分すぎるものだった。学園のアイドルや幼馴染、主人公に救われたと話す転校生に加え、この校則の撤廃に反対していた副会長までもが「不純なことして校則を戻させてやる!」と彼女に立候補する前代未聞のモテ期を過ごすことになる。のだが、そんな彼女たちから誰と本当に付き合うかは、プレイヤー自身を「キュン」とさせられるか次第。時にはあざとく、時には不意に、「良い!」と感じたら臆面なくポイントを振ってあげてほしい

 と、そんなユニークな仕掛けがあってオススメ出来る一本ではあるのだが、残念な点が1つ。個別ルートに入ったら一本道というお約束がそうなのは置いておいて...

歳を取って枯れると、キュンと来ないんだわ。

いやお前なんのためにギャルゲーやってんの?って言われそうな発言ですが、自分には響かなかったですね...。ヒロインは『絆きらめく恋いろは』で好きだった朱雀院椿さんと同じ声優の子を選んだわけですが。

 この作品こそ、やってみないとわからない一作だと思います。多くのゲームの場合、明らかな地雷選択肢とかがあって「ゲーム的に」見破られたりするかと思いますが、この作品は全て地の文や演技で勝負をしてきます。それに対してどういう感情を持つかは本当に十人十色。気になった方はぜひ

 

and more... 最近ギャルゲーに思うこと

これ。

 今回紹介した3本だと『Sugar*Style』は、男の子が単身、女の子だけが住んでいた寮にやってきて恋に落ちる「ボーイ・ミーツ・ガール」。『I×SHE Tell』も恋愛解禁により女の子たちが近寄って来たので「ボーイ・ミーツ・ガール」と言っていいでしょう。

わかります。お話を作る上の「起」が出会いだということくらい。ただ、あまりにも「突然女の子だらけになった~!」という話が多く、そこにリアリティを感じなくなってきたと言いますか、「なんでもなかった日常が急に周囲が女の子だらけに~!」には飽きたと言いますか。

私は、「なんでもない日常」という表現が嫌いです。同じように社会の歯車として回っているような日々の中にも、違うところが必ずあるはずです。

だからこそ、日常の延長で展開する話が見たくなってきたのかなって思うんです。例えば『Memories Off』の1作めは主人公・幼馴染・親友の3人でまず始まっていましたし、2作めでは最初から付き合っている彼女がいることが日常でした。そういう、「既にある間柄」にちょっとプラスアルファした程度でのお話を楽しみたいなぁと。

異世界への転生が流行ってる中で、あまりにも時代に逆行しすぎている発言かな...?まあ適度にリアリティのある舞台設定じゃないと違和感を覚えるようになってきたな、という感じの話です。学生の頃、やってみたかったですよ。大雨の校庭で幼馴染の女の子抱きしめてキスって。さすがにグラウンドに石灰で名前書くのは恥ずかしいですけど。

 

 

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